戦争
男たちの大和を観ました。久しぶりに完成度の高い日本映画を観たという感じがしました。最近では、日本での邦画の興行成績が洋画のそれに匹敵してきているとのことで、この映画を観たときには確かに頷ける話だと思いました。
ハリウッド映画に見慣れていた我々が、ふと優れた邦画に目を向けてみると、そこにはハリウッドにはない斬新さが目につきます。日本人は昔から手先が器用で、細かい作業がとても得意ですから、ストーリーの組み方もとても丁寧ですし、アメリカの映画にはない独特の細やかな感情表現ができているように思います。実際、昔の黒沢明や溝口健二の映画にはそのような優れた場面がたくさんあります。今でも日本のアニメや漫画があれだけ世界中で売れているわけですから、映画の世界でもやろうと思えば日本人はいくらでも通用すると思うのです。
日本映画はここ数十年もの間、完全に衰退しきっていましたが、とかく角川だけは日本映画復活のために頑張っていたように思います。そんな角川の夢がここに来て、少しずつ現実のものとなりつつあるのではないでしょうか。この男たちの大和は、特撮の技術もかなりのもので、CGなども安っぽさを全く感じませんでした。俳優たちの演技もかなりのリアリティを感じ、他の映画やドラマでは下手な演技しかできない俳優、女優たちが、この映画ではとても素晴らしい演技をしているのを見てとても驚かされたものです。多分、監督の采配も良かったのでしょう。
敢えて欲を言うなら、この映画のワンカットワンカットに美的センスが少し欠けているように感じました。時代考証やセットのリアリティにはかなり凝っている反面、画面の絵そのものに美しさが感じられないのです。ハリウッドでは、例えばタイタニックなどが時代考証といいセットのリアリティといい全てが秀逸であり、かつワンカットワンカットが芸術的センスに溢れていて、素晴らしいストーリーに見事な彩りを与えていました。
やはり映画というのは一つの芸術なのですから、時代考証やセットに凝るのも大事だとは思いますが、映像の芸術性にももう少し力を入れてほしいなと思います。まあ、その件に関しては監督の美的センスが重要になってくるわけですが、もし監督一人の力で無理ならば、デザイナーなどを雇って絵コンテに注力するなどしてもらいたいものだと思います。

