サスペンス
これもまた秀逸な作品でした。監督はスパイク・リーといって、日本ではマルコムXで知られる監督です。ただしぼくはこのマルコムXはそれほど面白いとは思いませんでした。また、彼の撮った作品はほとんど日本では紹介されていないか、紹介されても余り話題にならなかった作品ばかりなのです。
というのも、この監督はエンターテイメントよりもアメリカ社会の現実をありのままに表現する作品が多いためで、アメリカ本国では物議を醸しても、日本人には理解しにくい作品が多いからだろうと思われます。
ただ、今回の作品ではデンゼル・ワシントンやジョディ・フォスターなどかなりの有名人を揃えているせいか、日本でもそれなりの話題を呼びました。評論家からの受けもいいので、どんなものだろうと思って観てみたのですが、確かに素晴らしい作品だと思いました。一見、何でもない銀行強盗の物語なのですが、犯人の巧妙さや事件を起こした動機などが、ごく普通の銀行強盗の枠を越えていて、且つかなりの説得感がありますので、これはもしやノンフィクションなのではないかと一瞬思ってしまったほどです。
ただ、一つだけ気になったのは、デンゼル・ワシントンの演技です。確かに彼の演技はとても巧い。彼の演技は一つ一つの仕草や表情がとても機転が利いていて、見ていてとても面白いのです。ただ、デンゼル・ワシントンは、作品毎に別の人間をうまく演じ分けられていない気がします。デンゼル・ワシントンぐらい沢山の映画に出演してしまうと、一つ一つの登場人物に個性を持たせるのは至難の業でしょうが、デンゼル・ワシントンぐらいの大物だからこそそれぐらいのことはやってもらいたいものです。実際、彼の出演する映画を沢山観てきたぼくは、今ではもう彼の演技に少し飽き飽きしてきています。ただし、彼の演技がとても個性的なので、結局、いつも映画を見終わるたびに感心してしまうのですが。

