SF
タイタニックで有名なジェームズ・キャメロン監督の海洋SF作品です。ジェームズ・キャメロンはもともと海洋生物学を専門としていたらしいので、まさにこの作品は自分の趣味を反映した映画だと言えるでしょう。
この映画の中で先ず目を見張るのは、その余りのリアリティでしょう。セットはどこまでも美しくリアルで、とてもセットとは思えないほどの完成度の高さです。SF好きの人間にはどこまでも視覚を楽しませてくれる素晴らしい作品になっているのではないかと思います。また、海中でのシーンは実際に巨大な水槽を作って水中で撮影しており、俳優たちはみんな命懸けで演技をしていたというエピソードもあります。しかし、それほど力を入れて作った作品であるにもかかわらず、観客からの受けは今ひとつだったようですが、ジェームズ・キャメロンが如何にしてタイタニックという名作を作り上げるに至ったのか、その成長過程を知る上では必見の映画ではないかと思います。
現在では映画の中でCGというものが当然の使われていますが、実を言うと、このアビスという映画は映画史上初めてCGが使われた映画です。恐らくジェームズ・キャメロンの完璧主義な性格が、映像のリアリティを高めるためにCGを導入することを余儀なくさせてしまったのでしょう。このように何から何までこだわり抜いて映画を作るジェームズ・キャメロンですが、彼には一つの弱点があると言われています。彼の映画に出演する俳優たちの中には、なかなか名演技を披露してくれる人が現れないのです。アカデミー賞を総嘗めしたタイタニックですら、主演賞や助演賞を受賞する人はいませんでした。
しかし、このことはジェームズ・キャメロン自身も自覚しているらしく、彼は次々と優れたSF作品を世に輩出しながらも、それらの作品の中に深い人間ドラマを盛り込もうと懸命に努力してきました。このアビスではその努力がやや不発に終わった感がありますが、その次の作品であるターミネーター2ではその努力がものの見事に結実し、単なるアクション映画を越えた深い人間ドラマが描かれていました。その後のトゥルー・ライズでもコミカルな作風ながら様々な興味深いキャラクターたちがとても個性豊かに描かれていました。その次作であるタイタニックに関しては言わずもがなでしょう。SFや特撮に興味のない人でも、タイタニックを観てその深い人間ドラマに感動した人は数え切れないほどいるのではないでしょうか。
ジェームズ・キャメロンはタイタニックを制作した後、しばらく映画制作を休んでいましたが、2009年公開に向けてまた新しい作品を制作しているらしいので、今からとても待ち遠しい限りです。

