アクション
ヤン・デ・ボン監督が初めてメガホンをとった作品です。この映画は公開当時かなり話題になりましたし、テレビでも度々放映されてきましたので、知らない方はほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。ぼくもこの映画は色んな場面で何度も観ることになりました。別に自分から好んで観たわけではないのですが、誰も彼もがレンタルショップでビデオやDVDを借りて観ていたものですから、いつの間にか自然と何度も観ることになってしまったのです。
この作品は脚本がとても秀逸で、それまでにない新たなアクション映画を開拓してくれたと言っても過言ではないでしょう。初めてメガホンを撮ったヤン・デ・ボン監督も、初の監督作品だったということもあってか、かなり気合いを入れて作っているように見受けられます。この監督はもともとダイ・ハードや氷の微笑などで撮影監督を務めていた人なので、特にカメラワークには徹底的にこだわっているように感じました。俳優たちよりもカメラがよく動き回るので、観ている我々まで俳優たちと共に悪者と戦っているような感覚に陥ってしまうほどです。スリル溢れる映画のことをよくジェットコースター・ムービーなどと呼称しますが、この映画こそまさにその名に相応しい映画だと言っていいでしょう。
キアヌ・リーブスも、それまでに類のない好青年タイプのヒーローを演じ、多くのファンを獲得することになりました。この映画の中で彼は髪を短くカットしていましたが、これはキアヌ自らの発案だそうで、監督に何の断りもなく撮影当日にいきなりショートカットになって現れたそうです。監督としては、ストレート・ヘアのいつもの爽やかなキアヌ・リーブスを前面に出したかったのでしょうが、キアヌとしてはいつもの女々しい雰囲気を消し、完全にワイルドなヒーローになりきりたかったのでしょう。彼がこの映画の中で始終ガムを噛んでいたのも彼自身の発案だそうで、どこまでも男らしさを前面に出したかった彼の気持ちが窺い知れます。ぼく個人としては、ガムを噛むのは余計だったと思いますが。
デニス・ホッパーの演技も秀逸で、冷静で知能的、かつ心の奥底にただならぬ想いを抱えている男を見事に演じきっていました。やはり名優というのは、どんな役をやらせても様になるものだとつくづく実感したものです。
このようにスピードは何から何まで揃った映画だと思うのですが、敢えて一つだけ言わせてもらうなら、最後の地下鉄のシーンは余計だったのではないかという気がしないでもありません。地下鉄に乗り換えず、最後までバスのシーンで貫き通した方が、話にももっとまとまりが出てきたのではないかと思うからです。そのため、もしやこの地下鉄のシーンは、バスのシーンだけでは話がもたず、単なる時間稼ぎのシーンだったのではないかという妙な詮索さえしてしまいました。
この映画の続編であるスピード2は、興行成績もふるわず、ラジー賞の最低続編賞を獲ったそうですが、キアヌ・リーブスが降板していなければ、この作品もこんな結果にはならなかったのではないかという気がします。ヒーロー役も様にならず、サンドラ・ブロックを主役格にしてしまったのが、この作品を少し間の抜けたものにしてしまったように思われるからです。
スピード
