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ホラー

実話に基づくホラーサスペンス映画です。悪魔に取り憑かれた少女がある牧師に悪魔払いをしてもらったところ、その少女が死んでしまった。そのため牧師が殺人罪の罪に問われるわけですが、果たして彼は有罪なのか無罪なのか……という展開なのですが、この映画で先ず目を見張るのはエミリー・ローズ役のジェニファー・カーペンターの演技でしょう。いや、演技が凄いと思う前に、彼女が演技をしているということを忘れて、悪魔に取り憑かれるというのはどれほど辛いものなのだろう、なんて可哀想な人なんだろうと素直に同情してしまったほどです。

実話に基づいているとは言いますが、この映画で描かれていることはとても異常なもので、本当にこんなことがあったのだろうかと首を捻りたくなるようなものです。しかし、アメリカでは過去にもエクソシストという映画が大ヒットしたように、このような出来事はキリスト教国であるアメリカでは頻繁とまではいかないにしても、ちょくちょくと起きているようです。

もっとも、日本国内においても降霊や除霊といったことは行われているわけですし、実際に霊に取り憑かれたという人も実在するわけですから、悪魔に取り憑かれた人がいたといっても別に不思議ではないのかも知れませんが、ごく普通の霊に取り憑かれるのと悪魔に取り憑かれるのとでは格段の差があるということが、この映画を観るとよく分かります。

ぼくは個人的には心霊現象にはとても興味がありますし、だからこそホラー映画にも自然と興味が湧いてくるのですが、この映画は他のホラー映画とは違って、単に悪魔に襲われる恐怖を描くだけではなく、そのような恐ろしい現象を事実として認められなかった人がじわじわと認めざるを得なくなっていく過程、あるいは牧師が少女を殺したのかどうか判断に苦しむ人々の姿が克明に描かれていて、単なるホラー映画の領域を越えた作品になっています。そのため、単純にホラー映画として観ようと思っていた向きにはいささかの落胆もあったようですが、かつて羊たちの沈黙が単なるサスペンス映画の領域を越えてアカデミー賞を受賞したのと同じように、この映画もまたホラー映画の領域を越えた新しい映画の枠組みを提示してみせたという意味で、とても大きな快挙だったのではないかと思います。

超常現象や霊現象に興味のある方には当然お勧めできる作品ですが、霊や悪魔なんて信じられないという方にもぜひとも観ていただきたい作品だと思います。霊や悪霊なんて存在しないと頭から決めつける前に、このような事件も実際に起きたのだということを知っておくことは無駄なことではないと思うからです。

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エミリー・ローズ デラックス・コレクターズ・エディション


スティーブン・キング原作の同名映画。スティーブン・キングはホラー作家として知られていながら、映画化された作品はスタンドバイミーショーシャンクの空といったホラーとは関係のない作品ばかりが大ヒットを飛ばしてきました。それだけ映画の中で恐怖を表現するのは難しいということかも知れません。実際、ホラー映画と言われている映画の中で、心から怖かったと思える作品はなかなかありません。しかし、このシャイニングだけは数あるホラー映画の中でも堂々と胸を張って推薦できる作品です。

この作品は巨匠と呼ばれるまでになったスタンリー・キューブリック監督の作品でも唯一のホラー映画です。スタンリー・キューブリック2001年宇宙の旅で一躍有名になった監督ですが、このシャイニングの中でも彼の鬼才ぶりは存分に発揮されていて、映像で恐怖を表現したいという並々ならぬ野心を随所に感じます。ぼくはこの映画を観るまで、怖いと思ったホラー映画には一度も出会ったことがありませんでした。どれもこれも化け物が出てきて人間を襲ってきて終わりで、見終わった後はいつも空しい気持ちに襲われてしまうだけだからです。しかしこの映画は別でした。見ていて本当に怖いと思いましたし、今にも自分の傍に幽霊か何かが化けて出てくるのではないかという気がしてきたほどです。やはりキューブリックは、世間でもよく言われるように映像のマジシャンだったとぼくは思います。

単に奇怪な化け物が出てきて襲ってくるという設定ではなく、ごく普通の人間が霊に取り憑かれて気を狂わせていくという設定そのものも良かったのでしょう。そこはやはりスティーブン・キングの真骨頂なのでしょうが、やはり狂気に向かっていく人間をリアルに描いたキューブリックの手腕もかなりものだったと思います。

キューブリックの撮る映像は、演技をしている俳優をどこか客観的な目で捕らえているような感じがします。そのため観客である我々も、この映画の中で狂気に向かっていくジャック・ニコルソンをあたかも研究者のようにじっくり観察しているような気分になってきます。映画そのものを楽しむというよりも、彼の変化を詳しく研究しているような感覚なのです。そこがまたキューブリック作品の面白いところですし、彼の作品に風格を与えているところでもあります。また、彼の狂気を観ながら恐怖を覚える妻、そしてそれをどこか漠然とした目で見ている子供の演技もまた秀逸で、映画の世界により強固なリアリティを与えているように感じました。

ぼくにとってこの作品は、スタンリー・キューブリックの作品の中では2001年宇宙の旅に次いで好きな作品です。彼はどんな娯楽作品をも見事な芸術作品に変えてしまう手腕の持ち主だとぼくは思います。もっとも、彼の遺作となったアイズ・ワイド・シャットはとてつもない駄作だったと思いますが、実はキューブリック本人もあの作品を駄作だといって亡くなっていったそうです。

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シャイニング 特別版 コンチネンタル・バージョン


日本版ではリングの次にらせんが公開されたわけですが、ハリウッドでは全く別の続編が制作されました。それがこのザ・リング2です。ザ・リングの興行成績が良かったので、ハリウッドでもぜひ続編を制作してより多くの収益を得ようとしたのでしょうが、らせんではとても利益が取れないと制作者サイドは見込んだというわけでしょう。

確かにらせんは酷かった。リングが面白かっただけに、多くの人が期待してらせんを観たに違いありませんが、無理な辻褄合わせに付き合わされて、うんざりしてしまった人も多かったのではないでしょうか。そもそも、ビデオを見た人がどうして死ぬかなんて謎のままの方がいいに決まっているのです。その方が観ている側としても想像力が刺激されて、恐怖も倍増するというものではないでしょうか。にもかかわらず、その謎に無理やり辻褄の合う理屈をつけようとしてかえって失敗してしまった。いえ、例え理屈をこじつけたとしても、もっと出来のいいこじつけ方をしてくれればまだ良かったのです。しかし、死者の怨念が人間に遺伝子に影響を及ぼすという科学的な辻褄の合わせ方をしたものですから、ぼくはとても興ざめしてしまいました。死者の怨念といったものは、科学では説明ができないから恐ろしいのに、それを科学的に解明してしまったら怖くも何ともないではないですか。

もっとも、らせんの原作本はそれなりに売れたようですし、その続編であるループもそこそこ世間から受け入れられたようですので、あれはあれでいいと考えた人もそれなりにいたのでしょう。しかしハリウッドは、原作通りに続編を作ることを露骨に拒否したのです。

ということは、ハリウッドがよほど面白い続編を作ってくれたということだろうと思ってこのザ・リング2を観てみたのですが、確かにらせんに比べれば格段に面白い作品になっていたと思います。何が良かったかといえば、ビデオを観た人がなぜ死ぬかという謎を無理に解明しようとはしなかったことでしょう。ハリウッドはそんな謎解きは無視して、ビデオを観た人の呪いをどう解いていくかだけを追求したのです。しかもその追求の仕方が、無理に辻褄を合わせようとするものではなく、むしろいささか謎を残したような形で終わりになったのですが、見終わった後は「なるほど」こういう終わり方もあったかと妙に納得させられるものでした。これで主人公を苦しめる少女はもう現れないだろうと思わせてくれる終わり方だったのです。

ただし、このザ・リング2は正直なところ余り怖くはありませんでした。ハリウッド版のザ・リングも怖くはなかったので、やはりアメリカ人には日本的な恐怖を描くのは少し難しいのかも知れません。一番怖かったのは、原作のリングだったとぼく自身は個人的に思っています。

かつて小説家の三島由紀夫は「恐怖」を描くのが最も難しいと語ったことがありますが、確かに恐怖を描くのはとても難しいのかも知れません。実際、ホラー映画と呼ばれる作品の中で、本当に怖いと思った映画がどれほどあるでしょう。ぼくは基本的にホラー映画は好きでよく観ているのですが、そんな映画は指で数えられるぐらいしかありません。一応、原作のリングを読んだときはかなりの恐怖を感じましたが、映画の方は日本版もハリウッド版も原作を凌ぐような恐怖は感じられませんでした。ですからこの映画は、らせんの落ちの付け方に納得できなかった人に、とりあえず納得のいくような落ちを提供してくれた作品ということになるではないでしょうか。

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ザ・リング2 完全版 DTSスペシャル・エディション


清水崇監督の輪廻を観ました。前作の呪怨呪怨2が良かったので期待して観たのですが、今回ばかりは駄目でした。多分、監督自身もそう思っているのではないかと思います。きっとスポンサーの意見に振り回されてしまったのでしょう。

先ずこの映画は決定的にリアリティに欠けていました。過去に殺された人間が現代に生まれ変わり、なおかつ過去の記憶を未だに引きずっているなんて、そんなことがこの日常生活の中でどれほど頻繁に起きているというのでしょう。確かにテレビや雑誌などではそんなことを言う人がちょくちょく出てきますが、そういう人が映画の中で出てきても何のリアリティも感じられず、むしろ陳腐なものにしか見えませんでした。

もちろん、リアリティのないものに恐怖など感じるはずもなく、殺人事件の現場が映し出されても、ただ単に目の前で事件が起きているというだけで、呪怨を観たときのような恐怖は全く感じませんでした。例え輪廻という概念を信じている人でも、この映画を観て素直に怖いと感じた人は余りいなかったのではないでしょうか。

その点、呪怨はとても秀逸なホラー映画だったと思います。あの映画を見終わったとき、正直なところ、自分の家にもあんな幽霊が出てきて、自分に襲いかかってくるのではないかと本気でびくびく怯えてしまったほどです。例え霊魂の存在を信じていない人でも、呪怨を見終わった後はそんな恐怖を感じたのではないでしょうか。

要は、輪廻という概念自体が本当にあるのかどうかが問題ではなく、輪廻という概念をもっと現実味のあるものとして表現すべきだったと思うのです。それができていなうちから、この登場人物は過去に殺された人間の生まれ変わりだったと言われても、観ている側は何の驚きもショックも感じられません。

清水崇監督には、輪廻といったテーマ等に拘るのではなく、呪怨のようにただ単純に幽霊に祟られるという昔からあるような恐怖をもっともっと色んな形で表現してもらいたい。それがぼくの個人的な意見です。多分、日本の監督の中で、いや世界中の監督の中でそれをうまく映像で表現できる監督はこの人しかいないと思うからです。そしてそれができれば、日本のホラー映画は日本のアニメ漫画のように世界的に受け入れられるようになるのではないでしょうか。

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輪廻 プレミアム・エディション