歴史
U・ボートで有名なウォルフガング・ペーターゼン監督の作品です。この監督の作品は、基本的にハリウッド映画にありがちなハッピーエンドが少なく、観客を失望させてしまうところがあるように思います。ほとんどの観客は、映画を観てストレス発散をしたいと考えているはずなので、意味もなく主人公が不幸な結末を迎えてしまうと、観なければ良かったという気分になってしまうのは否めないことでしょう。
このトロイという映画もまたハッピーエンドでは終わりません。史実を基に作られた映画ですから、監督自らが意図して不幸な結末を作り上げたわけではないのですが、ハッピーエンドではない史実を自分の撮る作品として選んだことが彼らしいところだと言えるかも知れません。
このウォルフガング・ペーターゼン監督の作品の中でぼくが最も好きなのは、クリント・イーストウッド主演のザ・シークレット・サービスです。この映画では悪役にジョン・マルコビッチが起用されているのですが、彼の演技がとても秀逸で、作品そのものよりも彼の演技が深く印象に残っています。その演技力が余りに見事なので、何回も繰り返して観てしまったほどです。
それと同様、この映画でも作品そのものよりもブラット・ピットの演技がとても印象的でした。もっとも、ブラット・ピットはどんな役をやらせても見事な演技を見せてくれる天才なので、この作品での演技が他の作品のものに比べて格段に良かったというわけではありませんが、彼の演技があったからこそこの作品にそれなりの風格が添えられたように感じます。
この映画に関する幾つかの批評を見てみると、酷評している方がかなり多いように見受けられます。恐らくこの監督独自の歴史の解釈の仕方に納得のいかない部分があるのでしょう。しかしぼくは、トロイア戦争というものを知らないせいなのか、この映画を観てそんなに悪いとは思いませんでしたし、むしろ娯楽大作として大いに楽しませてもらいました。ウォルフガング・ペーターゼンの新たな一面を見せてもらったという感じです。とはいえ、最高に良かったといって推すことができないのはどうしてなのか、自分でも分かりかねるところがあります。やはり映画の作り方が少し紋切り型すぎるせいなのでしょうか。ただ、大河ドラマが好きだという方には十分にお勧めできる作品ではないかと思います。

